GIGAスクール構想で入った端末の活用方法として、まずは辞書から使わせてみようと検討されている先生方も多いのではないでしょうか。
今回は、クラウド辞書について私がリサーチした情報をまとめて比較していきます。
クラウド辞書とは
クラウド辞書とは、どの端末からでもアクセスできる辞書サービスのことを指しています。
クラウド辞書は基本的に全てブラウザ上で機能するので、どの端末であっても辞書サービスにアクセスをして、語句を調べることが可能です。例えば、授業中はGIGAの端末で調べさせるけど、家ではスマホで検索をするなんてことも可能です。検索履歴なども共有されているので使い勝手が良さそうです。
また、サービスによってはアプリ版も用意しているものもあり、通信が不安定な場所でも使えるよう工夫されています。
クラウド辞書のメリットは、電子辞書と違って、端末代が入っていないので安いところ。例えば、一番安いものだと、一つの辞書が約1600円ほどで3年間利用することが可能です。
4種類の学校向けクラウド辞書を徹底比較
今回はGIGANTES, ClassPad, DONGRI, Brain+の4つのクラウド辞書について情報を集めました。
こちらの表をご覧ください。
※なお「価格」については、各社扱っている辞書や参考書も異なるため、あくまでも「高校で英和辞書を使わせる」という想定で一番安い金額を表示しています。
GIGANTES | DONGRI | Brain+ | ClassPad | |
---|---|---|---|---|
運営 | セイコー | イースト | シャープ | カシオ |
ブラウザでの使用 | ○ | ○ | ○ | ○ |
アプリ版の提供 (オフラインでの使用) | △ ※別サービス(セイコー辞書アプリ)にGIGANTESも使えるプランあり。ただしiOSのみ | ○ | ○ ※アプリ版は完全別料金 アプリ版かブラウザ版かを選択する | × |
価格 (3年間) | 1,660円〜 | 1,666円〜 | 6,900円〜 | 13,000円 |
特徴 | ・同時に3台使用可 ・辞書単品からの購入可 | ・同時に3台使用可 ・辞書単品からの購入可 ・Google, Office365のアカウントでログイン可 | ・Googleアカウントでログイン可 | ・ノート機能がメイン。一機能として、「Ex-wordオンライン」が使える ・22個の辞書、参考書コンテンツが使用可能 |
HP | https://www.seiko-sol.co.jp/products/gigantes/ | https://www.east-education.jp/products/dongri/ | https://smj.jp.sharp/bs/education/brain-plus/ | https://www.casio.co.jp/release/2021/0218_classpad/ |
YouTubeに機能説明の動画があったので、こちらをご覧いただければ操作性などイメージしやすいかと思います。
DONGRIがオフラインでも使えて、安く導入できそう
上の表の情報から、私はDONGRIが一番導入するハードルが低く、使いやすそうだなと感じました。
私が思う、DONGRIの良い点は次の通りです。
- 辞書の単品購入ができるので、安く、必要な辞書だけ持たせられる
- オフラインでも追加料金なしで使用できる
- Googleアカウントでログインできるので、生徒が混乱しなさそう
電子辞書って、ものすごいコンテンツの数が入っているのに、「結局使っている辞書は2、3種類だけ」なんてことはありませんか。
DONGRIであれば、「ウィズダム英和辞典だけ」で「3年間1,972円」といった契約もできるので無駄がなさそうですよね。これなら、今まで電子辞書に3万円程度払っていた保護者からも理解を得られそうです。
また、追加料金なしでアプリ版も提供しているのがDONGRIだけでした。授業中に「回線が弱くて調べられません」なんてことは避けたいので、オフラインでも使用できるアプリ版があると安心ですよね。
さらに、私の勤務校ではGoogle Classroomを使用しているのですが、GoogleアカウントでDONGRIにアクセスできるのも便利そうです。
私の学校でも、Googleアカウントですら、「パスワードを忘れた」と言ってくる生徒が多いので、「辞書のアカウント」まで増えると大混乱間違いなし。こんなトラブルも、DONGRIなら回避することができそうです。
はじめは、他の運営元に比べて、「イースト」という名前があまりピンとこず、「大丈夫なのか」と思ってしまったのですが、学校向け辞書としてシェアNo.1だそうです。
ここまでベタ褒めをすると、お金もらっているのかと疑われそうですが、そのようなことは一切ございません。ご安心ください。あくまでも公平な視点から、記事を執筆しています。
カスタマイズ性はDONGRI(ドングリ)とGIGANTES(ギガンテス)が強い
今回取り上げたクラウド辞書の中で、Brain+とClassPadはあらかじめ用意された辞書セットを使う使用となっています。
一方で、DONGRIとGIGANTESは辞書をカスタマイズ可能なのが強みだそう。例えば、「辞書5冊セットを一冊減らして安くして!」と言った相談にも乗ってくれるみたいです。
無駄な辞書を入れずに必要な辞書だけ使えるのはうれしいですよね。
クラウド辞書、もっとこうして欲しい
クラウド辞書は電子辞書よりも安く、スマホからもアクセスできるので、生徒にとって辞書がより近い存在になってくれたらと期待しています。
一方で、コンテンツにはまだまだ改善してほしいと思う点が多々あります。
特に、英文法書や便覧などの副教材をもっともっと充実させてほしいです。例えば、今回調べた中でも、「ロイヤル英文法」を提供しているところは多かったのですが、中高生が英文法を学ぶ際には少しハードルが高い参考書です。
ClassPadのEx-wordオンラインには英文法書「Vision Quest」が入っているようですが、このようなコンテンツが他の3社からも出てほしいなと願っています。Forest, FactBook, チャート式あたりが入って来ると授業でもバリバリ使えるようになるのではないでしょうか。英文法書もそこそこ重たいので...。